1億人が漂流する ~中国・都市大改造の波紋~
(2014)
今、中国で政府による大掛かりな都市の改造が進んでいる。農村からの出稼ぎ労働者が集まって暮らす貧困地区“城中村”を撤去・再開発し、出身地によって「都市戸籍」と「農民戸籍」に分かれた戸籍制度の問題にメスを入れようというのだ。これにより、農村出身者も一定の条件を満たせば、社会保障などで優遇される都市戸籍を与えられることになった。しかし、現実には、その条件を満たすことのできる人は多くはない。居場所を失った農村出身者は“無資格者”として都市のなかを漂流しはじめている。中国政府が格差社会是正の切り札として繰り出した「都市大改造」、その行方をみつめていく。