黒い福音~国際線スチュワーデス殺人事件~
(2014)
昭和史に残る未解決事件のひとつとして語り継がれている“国際線スチュワーデス殺人事件”。この事件の顛末に疑問と憤りを抱いた松本清張が独自に調査を行い、フィクションの形式で自らの推理を示したのが、この『黒い福音』だ。 “国際線スチュワーデス殺人事件”は昭和34年、東京西部の川で女性の死体が発見されたところからはじまった。被害者が敬虔なキリスト教徒であり、誰もがうらやむ国際線スチュワーデスだったことから、マスコミも事件を大々的に取り上げた。 警視庁は名刑事・平塚八兵衛ら精鋭を投入、教会が過去に行っていた物資横流しや麻薬密売事件との関連を突き止め、ひとりの外国人神父を容疑者として炙りだした。だが、宗教的、政治的圧力に屈し、最後は容疑者を国外に逃がしてしまうという結末に…。 これこそ、戦後間もない時代、日本の国際的立場が弱かったことが原因で苦汁をなめさせられた、我が国の警察史上、最も無念な事件だったのではないだろうか…。