ふしぎな岬の物語
(2014)
女優の吉永小百合が、成島出監督の最新作「ふしぎな岬の物語」に主演し、プロデュースに挑むことがわかった。成島監督との共同名義だが、55年間におよぶ映画人生で初めての企画を立ち上げ。「一生俳優のつもりでいましたが、成島さんと一緒に映画を作りたいという思いで、ふたりでこの作品を選んだものですから、どこかで責任を取らないといけないと思った」と語った。 「ふしぎな岬の物語」は、千葉県明鐘岬に実在する喫茶店を舞台につづられた、森沢明夫氏の「虹の岬の喫茶店」(幻冬舎文庫)が原作。同書に出合った吉永と成島監督が、「この優しく温かい物語を映画として観客に届けたい」という思いが結実し、製作にいたった。吉永は、成島監督と二人三脚で脚本を完成させたそうで「全くの素人ですから、監督には本当にご迷惑をおかけした。撮影では一俳優として3倍返ししたい」とほほ笑んだ。 吉永と成島監督は12月18日、都内で行われた製作発表会見に、出演の阿部寛、笑福亭鶴瓶、原作の森沢氏とともに出席。成島監督は、「吉永さんとのお仕事は、僕の長年の夢。打ち合わせをしたり、お食事をしたりして、そのお人柄とともに映画に対する誠実な思いが想像以上だった。吉永さんの素の魅力、人柄がお客様に伝われば」と力説した。 吉永は、阿部と鶴瓶について「このおふたりしかいないと思い、お手紙を出しました。出ていただけることが嬉しくて、そのままの姿をスクリーンに出していただければ」と語ったが、鶴瓶は「絶対に断れないと思った。血判状みたいな気分で、どんなことをしてでも出ようと思った」と話し、「おとうと」以来の共演を心待ちにしている様子だ。 阿部も緊張した面持ちで、「大役だと思っている。事務所の大先輩の吉永さんとついに共演できる。全力で演じたい」と意欲をみなぎらせた。さらに、「エキセントリックな役で全くやったことがない。現場ではご迷惑をおかけするかもしれませんが、今までにない作品というのは、僕は燃えますから」と語った。 舞台は、海と花畑に囲まれ、穏やかな生活が日々営まれる里。その岬の先端に立つ小さなカフェに集まる人々と女主人の心温まる交流が描かれる。カフェの女主人・悦子を吉永、悦子を献身的に守り続けるおいの浩司を阿部、カフェに30年間通い続ける人情派・タニさんを鶴瓶が演じる。 なお、この日はスケジュールの都合で欠席したが、竹内結子の出演も決定している。撮影は2014年2月にクランクインし、喫茶店が実在する同所を中心にロケーションを敢行する。「ふしぎな岬の物語」は、2014年秋に全国で公開。